マレーシアでの子宮頚がん検診(精密検査)受診の記録

先日マレーシアで子宮頚がん検診の精密検査にあたる、コルポ診‧組織診を受診しました。

受診にあたり、マレーシアでの子宮頚がん検査に関する口コミを調べたのですが、なかなか有力な情報が得られなかったため、今回の経験が今後同じ境遇に立った方の参考になればという思いで、記事に残すことにしました。

精密検査受診のきっかけ

私の所属する会社では、年に一度日本で健康診断を受診することが義務付けられています。
婦人科検診は任意ですが、前回子宮頚がん検診を受けてから2年以上が経過していたため、今年は婦人科検診もあわせて受診をすることにしました。

健康診断の結果到着

健康診断を受けた約1ヶ月後に、実家の母から連絡があり、健康診断の結果が届いたことと、要再検査の項目があることが伝えられました。

早速診断結果をメールで送ってもらうと、子宮頚がん検査の結果が「D判定」となっていました。
さらに「HSIL」「手術適用になる可能性が高い」「中等度異形成/高度異形成/上皮内癌(HPV未実施)」「精密検査(コルポ‧生体)の受診をおすすめします」といった文言が目に飛び込んできました。

子宮頚がんとは

子宮頸がんは、子宮の入り口部分(子宮頸部)に発症するがんです。

子宮頸がんは女性特有のがんとしては、乳がんに次いで罹患率が高く、特に20~30代のがんでは第1位となっています。日本では、毎年約10,000人もの女性が新たに子宮頸がんにかかり、約3,000人1が子宮頸がんで亡くなっています

http://www.shikyukeigan-yobo.jp/outline.xhtml

 

子宮周辺

子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することによって引き起こされます。HPVは、皮膚・粘膜の接触で伝搬するため、セックスの経験がある人なら誰でも感染する可能性がある、ありふれたウイルスです。女性の約8割が、50歳までに感染するといわれています。HPVに感染していても、多くの人は自覚症状もなく、自然の免疫力でウイルスを追い出すことができます。HPVには100種類以上の型があり、そのうち16型や18型など、特定の型のみが子宮頸がんへと進んでいきます。

https://www.yukari-clinic.com/information/uterinecancer/

 

子宮頸がん・異形成の分類
参照元:ゆかりレディースクリニック

子宮頸がん検査の種類

子宮頸がんは、上の図のように「日母分類」「ベルスダ分類」といった分類方法によって進行度が分けられており、進行度に応じて以下のような検査が行われます。

子宮頸がん検診種類
参照元:日本医師会

定期健康診断などで実施

  • 問診:「生理周期などの月経の状況」「妊娠や分娩の経歴」「不正性器出血の有無」「子宮頸がん検査受診の有無、結果」などの質問を受ける。
  • 視診:膣鏡を挿入し、おりものの状態や炎症の有無を目視で確認する。
  • 細胞診:ブラシや綿棒などで子宮頸部の粘膜をとり、その細胞を顕微鏡で観察する。

上記検査で異常が見つかった場合に実施

  • コルポスコープ:コルポスコープ(膣拡大鏡)を用い、子宮頸部や膣の表面を直接観察する。
  • 組織診:異形成が疑われる部分から、米粒程度の組織を切り取り、顕微鏡で観察する。

高度異形成・上皮内がんと診断された場合に実施

  • 円錐切除:子宮頸部にできた病変がどの程度進んだ状態にあるのかを評価するため、子宮頸部を円錐型に切除する検査。進行度によっては、治療を兼ねる場合もある。
わたし
私はこれらの検査のうち、精密検査に当たるコルポスコープ(コルポ診)と組織診の受診が必要と診断されました。

検査の予約

診断結果を受け止めた後、妊婦検診で普段からお世話になっているグレンイーグルス病院のDr.テレサに相談のメールを送ってみることにしました。

▼送った内容はこちら(要件のみ抜粋)

I took a regular medical checkup in Japan at the end of February and received the result today.
I was diagnosed with “cervical cytology abnormality (HSIL)”, and I seem to need to take a detailed test (Colposcopy, Biopsies). Can I take these tests at your clinic?

(2月に日本で受けた定期健康診断の結果、高度異形成、HSILと診断され、精密検査(コルポ診、生体)を受ける必要があるようです。あなたのクリニックでこれらの検査を受けられますか?)

すると翌朝ドクターから「精密検査は可能、検査室を予約する必要があるから希望する場合はスタッフのメールアドレスまで連絡してください」と返信がありました。

その後、クリニックのメールアドレスに連絡を入れ、その日中に翌週の検査の予約を取ってもらいました。

検査当日

受付

当日は、検査の1時間前にA&E(Block A1階の緊急外来)のカウンターで受付を済ませる必要があるとのことでした。

A&EカウンターでDr.テレサにコルポ診をしてもらう約束がある旨伝えると、身分証を出すように言われました。
また、これまでにグレンイーグルス病院を受診したことがあるかを質問され、もし初診だった場合はあわせて患者登録を行うようでした。

私は初診ではなかったため、パスポートを返却されて受付が終了し、時間まで待合スペースで待つように言われました。

A&Eは緊急外来という名前ですが、怪我人だけでなく、風邪などの症状でどこのクリニック(何科)を受診すればいいかわからないような人たちも多く来るそうです。

この日もゴホゴホ咳をしているおばあさんや洗面器を抱えて苦しそうにしている子供などが出入りしていました。

妊娠中は免疫も下がっているので、マスクをするか、少し離れたベンチで待つことをお勧めします。受付の左にある簡易診療所にお願いすれば、無料でマスクももらえるようでした。

マレーシアタイム

予約時間の数分前に、通訳さんが受付に到着しました。

しかし、予約時間を過ぎても一向に名前が呼ばれず、(普段は時間に厳しい)ドクターも到着せずで、通訳さんに確認してもらったところ、前の利用者の検査が長引いていて、クリニックには30分遅れになる旨連絡を入れてあるとのことでした。

わたし
通訳さんは「マレーシアタイムですね(苦笑)」と慣れた様子でした。

そこで、私たちも準備が出来次第、携帯に電話を入れてもらうことにし、一度解散しました。

検査

結局検査室に入れたのは、予約時間から45分後のことでした。

着替え

検査室に入ると、検査担当の看護師さんが待っており、下の服を全て脱いで検査着を着るように言われました。検査着は、丈が長めの割烹着のような、後ろで紐を結ぶタイプです。

着替え終わるとドクターも到着し、早速診察台に上がります。診察台は、日本で受ける子宮頸がん検診の椅子の、自動じゃない(=自分で台に足を上げる)&目隠しのカーテンがないバージョンとお考えください。

コルポ診

まずは、子宮頸部を直接顕微鏡で観察するコルポ診が始まりました。

顕微鏡の先を子宮頸部まで入れる必要があるので、腟に空洞を作るための器具(透明なプラスチックの筒のようなもの)を先に挿入します。

グイグイ入れられるので結構痛みがありますが、ドクターがしっかりと観察できるよう、5分以上このままの姿勢で痛みに耐えなければなりません。

わたし
近年経験した中では最上級の痛みでしたが、通訳さんが、腰や肩を支えながら励ましてくださったおかげで、なんとか耐える事が出来ました。

組織診

コルポ診の後は、プラスチック状の筒から、ハサミのような形状の器具を入れ、組織の一部を採取する組織診を行います。
この器具は、家庭科の裁ちばさみくらいの大きさで、先端に組織を挟んでちぎり取るための道具がついています。

ここまでの痛みと器具の見た目から、不安と恐怖心がピークに達していましたが、私が「怖い」「痛い」などと喚いているほんのわずかな間に、1箇所だけ組織を採取され、検査はすぐに終了しました。

わたし
通常は米粒大の組織を数カ所取る事が多いそうですが、私は1箇所で済ます代わりに、(目視で)直径1.0〜1.5cm程の少し大きめの組織を取られていました。

止血剤の塗布

出血があったため、ピンセットとガーゼを使って患部に止血剤を塗ってもらいました。
止血剤は青い色をしているので、この後出てくる血は赤茶と青が混ざったどす黒い色になりますが、止血剤を塗っている分、量は多くありません。

お会計

その後、着替えを済ませて待合室に戻り、お会計となります。
この日のお会計は、RM 1,273.80でした。
(2019年5月現在のレートで34,000円弱)

高額ですが、クレジットカード・デビットカードが使えるのでご安心ください。

なお、海外在住者が、定期健康診断の結果を受けて海外で精密検査・治療を受けなければならない場合には、海外旅行保険が適用になる可能性が高いようです。病院を受診する前に必ず、契約している海外旅行保険会社に問い合わせてみることをお勧めします。

検査後

検査後の痛み

その後Grabに乗って家に帰ったのですが、30分ほどの乗車時間の間、しっかりお尻をつけて椅子に座る事が出来ませんでした。

帰宅後も、適当に夕ご飯を済ませ、さっとシャワーを浴び、20時頃にはベッドに入ったのですが、患部のジンジン・ヒリヒリとした痛みでなかなか寝付けず、「がんだったらどうしよう」という不安も相まって涙が止まらなくなってしまい、結局眠りにつけたのは1時過ぎでした。

検査後の出血

まとまった出血は検査の翌々日頃まで続き、多い時で生理3日目くらいの出血量がありました。出血が完全になくなった(=おりものに血が混ざらなくなった)のはそこから更に3日ほど経ってからでした。

私の場合は痛みと出血がありましたが、同じ検査を受けた事がある知り合い数人に話を聞いたところ、全く痛くなかったという人と、我慢はできたけど結構痛かったという人がいました。
特に妊娠中は膣もデリケートになっており、痛みや出血が出やすいようです。

結果連絡

検査を受けてから4営業日後に、ドクターから検査結果がメールで届きました。検査の結果、異形成は低~中程度とのことで、今後は3ヶ月に1回通常の子宮頸がん検診(細胞診)を受けるようにとのことでした。

低~中程度であれば自然治癒することが多いようですが、今後も油断せずに、定期検診を受けたいと思っています。

おわりに

今回は、グレンイーグルス病院で受けた子宮頸がんの精密検査(コルポ診‧組織診)についてご紹介しました。
検査の際はかなり痛い思いをしましたが、病気が進行する前に発見できた事は本当にラッキーだったと感じています。

この記事が、マレーシアで病院を探している方の参考になったり、しばらく婦人科検診を受けていない方が検査を受けるきっかけになったりしたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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