この記事は、2019年7月に、クアラルンプールのグレンイーグルス病院で第一子を出産をした際の出産レポートになります。
出産までの体の変化や出産の流れ、誘発×無痛分娩の感想などをご紹介していますので、今後マレーシアで出産をされる方の参考になれば幸いです。
出産時の状況
はじめに、私の妊娠・出産時の状況について簡単にご説明します。
私は今回が初めての妊娠と出産で、母子ともに目立った健康上の問題はなく、出産方法は経膣の自然分娩(無痛)を希望していました。
しかし、妊娠後期に赤ちゃんの成長が鈍化したり、出産予定日を目前にして羊水の量が減少しだしたりしたため、出産予定日前日に誘発分娩を行うことになりました。

出産直前の体調や予兆
次に、私が出産直前に感じた体調の変化や出産の予兆について、ご説明します。

▼39週目突入から出産数日前に感じた体の変化
- ごくたまに太ももの付け根が痛む
- ごくたまに寝ている間に生理痛のような痛みを感じる(不規則、2~3日に1回くらい)
※この時点で子宮口の開きは1cm。
▼出産2日前に感じた体の変化
- 最後の妊婦検診で内診を実施→内診直後は血が滲む程度だったものの、1時間後から鮮血が流れ始め、翌日の夜まで出血が続く。
- 内診後数時間だけ、7分~20分程度の間隔で生理痛のような腹痛を感じる。
※この時点で子宮口の開きは1.5cm。
▼出産前日に感じた体の変化
- 不規則な生理痛のような腹痛が続く。間隔は20~60分。継続時間は1~3分。痛みのレベルは「あ、痛いかも。でも全然大丈夫。」という程度。
- 夕方頃、太ももの付け根が痛みはじめる。その後太もも全体に神経痛のような痛みが広がり、ふくらはぎも痛くなる。
- 夜寝る前にトイレに行くと、ピンクのおりものがつく(内診出血の残りかおしるしかは判断がつかず)。
▼出産当日に感じた体の変化
明け方頃、生理の1~2日目に感じるような強めの腹痛と腰痛が続いて寝ていられなくなる。
出産当日の流れ
ここからは、出産当日の流れを時系列に沿ってご紹介していきます。
分娩には約12時間を要したので、文章も少し長めになっていますが、入院時や無痛分娩の流れなどについても詳しく記載していますので、お付き合いいただけると幸いです。
6:00
起床。シャワーを浴び、家で朝食をとる。
出産は体力勝負!と聞くので、エネルギーになりやすい、バナナ、どら焼き、おにぎりを摂取。
服装は特に指定がなかったため、普段の妊婦検診時と同じく、NSTや内診が受けやすいTシャツ+ロングスカートを着用して出発。
7:30
病院到着後、分娩室に直行。手術着に着替え、トイレを済ませ、NSTを受ける。
手術着は、後ろで紐を結ぶ割烹着のようなワンピースで、この時点で下着も全て脱ぐ。
この間、夫はG フロアのカウンターで入院のレジストレーションとデポジット(RM5,000)の支払いを済ませるように指示を受ける。
夫が出て行った後、手術着に着替えていると、助産師さんが分娩室に入ってきて、以下の質問を受ける。
- アレルギー(薬、食べ物)はない?
- 手術歴はある?
- 促進剤を打つ理由は?
その後、NSTを受けながらも再び質問を受け、複数の書類にサインもさせられる。
- 3種類の麻酔があるけどどれがいい?
- 胎盤持ち帰る?捨てていい?
- 生まれたら予防接種2種類するけどいい?BCGはどこに打つ?
- 母乳育児する?
8:20
ドクターが分娩室にやってきて内診を実施(結構痛い)。
※この時点で子宮口の開きは2cm。
その後、膣内部にジェルを塗り、陣痛促進剤を挿入する。
陣痛促進剤は平たい紐状のもの(←予想外な形状!)を、奥の方までグイグイ入れられる。子宮口が4cmになるまでは麻酔ができないそうで、しばらく待機となる。
→ 促進剤使用開始後、20~30分後から徐々に痛みが出始める。
前駆陣痛よりははっきりと、強い生理痛のような痛みが周期的に襲ってくる。
9:00
しばらくNSTを受けた後、機械を外し、外を歩いて来るよう言われたので、分娩室フロア内を3周歩く。
助産師さんから「朝ごはんを用意してあるから食べたければ食べていいし、下にコーヒーを買いに行ったりしてもいいよ。10:15からまたNSTをするからそれまでに戻って来てね」と言われるも、朝ごはんにはおにぎりを持参していたので、それを部屋で食べる旨伝える。
その後、陣痛が急に激しくなってくる。間隔は3〜4分、痛みの継続時間は2分弱に。長く息を吐いたり、足を組んだりすると、気がまぎれる。
▼ちなみに、こちらの動画の呼吸法が効きました!
このタイミングで、病院のスタッフが部屋を訪れ、明日の朝昼晩の食事メニューの希望を記入するための紙を渡される。

10:30
再度、助産師さんによる内診を行うも、子宮口の開きと子宮頚の長さにあまり変化なしと言われる。
その後NSTも実施。
この頃が陣痛のピークで、陣痛の波が来ているときはうずくまる&涙が出る程の痛みがあり、今となっては記憶も曖昧。
NSTでの陣痛レベルは10前後だったが、私があまりにも痛がっているため、麻酔を打ちたいか聞かれ、Yesと答える。
麻酔の種類を、効き目の弱い注射か、効き目の強い硬膜外麻酔から自分で決めていいよと言われ、注射を選択する(まだまだ序盤と思ったため)。

その後NSTの数値が正確にはかれていなかったことが発覚し、実際には陣痛が急に進んでいることが判明。
注射では無く硬膜外麻酔にすることを勧められ、承諾する。
11:30
麻酔を打つ前に浣腸を行う。ベッドに横になって、肛門から冷たい水を入れられる。浣腸に気を取られたためか、陣痛の痛みが少し和らぐ。その後ベッドに座って、便意を催したらトイレにいっていいと言われ、5分も経たないうちにトイレに移動→15分ほど引きこもる。踏ん張る際に、膣から結構な量の出血があった。
その間に麻酔医が分娩室に到着。
先に助産師が左手の甲に点滴用の針を刺し、1本採血した後、栄養補給用の点滴が設置される(分娩中ずっと入れっぱなし、地味に痛い)。
その後、ベッドに座って、背中に麻酔用の極細チューブを挿入。最初にチクっと針を刺す痛みがあり、その後は刺した周りに鈍痛を感じるも、我慢できないほどの痛みではなく、1-2分で処置が終了。その後チューブから麻酔薬を入れ、15分ほどで効き始める。
麻酔が効くと、副作用で、手足や口が震え、痺れも出始める。分娩後半には、発熱や悪寒も。
しかし、
ここから赤ちゃん誕生までほぼ痛みはなし!!

その後尿道にカテーテルを挿入。麻酔が効くか効かないかのタイミングだったので、やや痛みがあった。
なお、バースプランでは、Walking epidualという、歩けるタイプの麻酔を選択していたが、実際には点滴や尿道カルーテルで物理的にベッドに固定されており、足元も覚束ないので、歩かないようにと言われる(次に自分の足で地面に立つのは出産翌日の午後)。
その後、ドクターがやってきて再度内診を受ける。
子宮口は4~4.5cmまで開いたが、出産までにはもう少し時間がかかりそうとのこと。この時点で推定分娩時刻を聞きだすと、20時頃と言われる。
12:30
麻酔が効き始める。NSTの機械のtoco数値(陣痛レベル)が80を超えても、痛みを感じない。この頃から3〜4分間隔で強い陣痛が始まったので、麻酔が間に合っていなかったら、気絶していたのではないかと思う。
麻酔が効き始め、心身ともに余裕が出始めた頃、通訳さんが様子を見にきてくれる。これまでの状況を説明し、「大変だったね、頑張ったね」と励まされる。
14:00
遅めのランチが出てくる。これが出産前最後のまとまった食事に。
献立は、白米、チキンと野菜のスープ、白身魚のフライジンジャーソースがけ、ミックスベジタブル、メロン、ミロ。

昼食後、麻酔のチューブがうまく働いてなかったのか、麻酔が切れ始め、少し陣痛を感じる。
助産師さんでは対処できなかったようで麻酔医再登場。チューブが正しく設置され、15分ほどで麻酔が効き始める。さっきより薬の量が少なめなのか、陣痛が来ていることは感じるようになる(痛くはないが、張りを感じた)。
薬を減らしたことで、副作用の手足の痺れも無くなった。
15:30
熱が38度に上がっていることが発覚。
分娩時の母親の発熱は赤ちゃんに悪影響があるそうで、身にまとっていたタオルケットとカーディガン、カイロ付きタオルを没収される。
さらに、解熱剤を飲まされ、扇風機をつけられ、冷房の温度を下げられ、持参した冷えピタも貼る。
その結果、分娩時まで悪寒がして震えがとまらなくなる。
16:00
再度内診をすると、子宮口が8cmに広がっていた。陣痛の波の形も変わってきて、陣痛レベルが20を切ることがなくなる。マックスだと100に到達するくらい。引き続き痛みは全く感じない。
ここからしばらくはテレビを観ながら、のんびり。持参したバナナ、ウイダー、おにぎり、お菓子などをちょこちょこつまんでエネルギー補給。
17:00
通訳さんが再びやってきて、今はドクター待ち、と状況を共有される。
18:00
ドクターと通訳さんが一緒に来て、再度内診。子宮口全開になっていた。
ただ、赤ちゃんの向きが期待と反対向きだったため(顔が前向き)、ドクターが手を突っ込んで頭を回す。※この時も痛みは感じない。
その後2~3回いきんでみるも、やり方がイマイチ分からず、「いきみ方を勉強しておいてと何度も言ったでしょ!」とドクター怒り気味。「疲れただろうから休みながら、赤ちゃんがもう少し下ってくるのを待とう」と言われ、1時間休憩を挟む。通訳さんは帰宅するというので、その前に呼吸法やいきみ方を叩き込んでもらう。
19:00
ドクター再登場。ここからベビー誕生までの1時間半、陣痛の度にノンストップでいきむ。
ベビーが再度逆向きに戻ってしまっていて、ドクターより「この状態だと私がサポートするのは難しいから、あなたが頑張っていきんで出すしかない」といったようなことを言われる。
ドクター‧助産師さん2人‧夫が私の足を支え、いきむのをサポートしてくれる。
出産時の掛け声は、Deep breath...Now! go!
うまくいきめると Good! Better! Wonderful! Beautiful! と褒めてもらえるので、頑張れた。
20:23
息子誕生✨ 頭が見え始めてからはあっという間で、気づいたら出ていたという感じ。最後はドクターが手で引っ張り出してくれた。
出産前は、赤ちゃんの顔がガッツ石松か宇宙人似でも動揺しないようにしようという覚悟を持って対面したが、10ヶ月の時を経て、ようやく対面できた我が子は普通に可愛く思え、自然と自分が母親になったという実感が湧いた。
その後、しばしカンガルーケアと写真撮影をして、息子は入浴‧検査‧予防接種のため一時退席。夫も、家で待機していた私の母を迎えに行った。

その後、分娩台の上で、産後の処置を受けながら、友人などに出産を報告。
胎盤はスムーズに10分ほどで出てきたものの、その後しばらく出血が止まらず、会陰を縫っても(※メスでの切開はしていないが、勝手に裂け、腫れている)血が止まらないとのことで、膣にガーゼを詰めまくられる。
それでも血が止まらず、大きなボトルに血が溜まっていき、ドクターは何故か助産師さんを叱責しはじめ、空気が緊迫する。
どうやら子宮内に裂けた傷のようなものがあり、そこから出血しているようで、子宮内に止血用のパック?を詰める手術が必要とのこと。
21:30
手術室に移動。陣痛中と同じ麻酔を追加して、処理を行う。意識はあり。不安だったが、スタッフが皆明るく優しく励ましてくれ、ドクター達も私が分からなそうな単語はグーグル翻訳やグーグルイメージを駆使して説明してくれ、和やかな雰囲気の中無事処置が完了。
23:00
処置の後、20分ほど手術室近くのスペースで休んで、病室に移動。ドクターの指示で氷付きの高級産褥パッドを当ててもらう。
その後、一時息子が病室に連れて来られ、再会。本来はこのタイミングで授乳を開始するらしいが、その余裕はなかったため、写真を撮るだけで面会終了。
0:30
まだ尿道カテーテルが繋ぎっぱなしで歩けなかったため、ベッドの上で歯磨き、顔と体を拭いて就寝。
朝までは麻酔が持つと聞いていたものの、2時ごろに下腹部と会陰の痛みが強まり、熱も再び38度まで上がる。解熱&鎮痛剤を出してもらい、なんとか朝を迎える。
感想
以上が、私の出産の体験レポートとなります。
私の場合は、はっきりとわかる前駆陣痛がほとんどなく、出産前日まで「この子は本当に生まれてくるのか?」と不安に思うほどでしたが、陣痛促進剤がよく効いて、初産でしたが12時間で出産することができました。
一方、無痛分娩だからと言って油断していたために、想定外に激しい陣痛に面を食らう場面もありました。その時は辛くて辛くてしょうがなかったですが、今思い返すと、いい人生経験にはなったなと思っています。
▼無痛分娩の詳細は以下の記事でもレポートしています。
この記事では、私が第一子を無痛分娩で出産した際の体験談をご紹介します。無痛分娩を体験する前は、本当に痛くないの?副作用とかない?麻酔自体は痛くない?などなど不安があったので、この記事によって、これから無痛分娩で出産する方の不安[…]
出産直後には思わぬトラブルにも見舞われましたが、何はともあれ、母子ともに健康で出産を終えることができてよかったです。
おわりに
この記事では、出産までの体の変化や出産の流れ、分娩の感想などをまとめました。人それぞれ、症状や状況は違うと思いますが、一つの例として、この記事が参考になれば幸いです。
疑問点などありましたら、コメント欄にてお知らせいただければと思います。
この記事を読んでくださった皆様のお産が、安産で、良いものになるようお祈りしております。
最後までお読みいただきありがとうございました。